温泉MaaSの導入アプローチ

観光地を含む地域において、移動サービスの構築には、以下の3つのアプローチがあると考えています。

    1. 自治体主導型
    2. 事業者主導型
    3. 市民主導型

自治体主導型は、自治体が主体となって地域の交通体系を編成・再編し、市民や観光客などの需要(ニーズ)に応じた移動サービスを、地域の公共交通・交通事業者と検討して導入するパターンです。地域全体を対象とし、地域内の公共交通と交通事業者の利害関係を調整して移動サービスを設計する必要があります。

事業者主導型は、地域の公共交通・交通事業者、またはサービス提供事業者が主体となって、自治体と連携して交通体系を編成・再編し、市民や観光客などの需要(ニーズ)に応じた移動サービスを提供するパターンです。事業者の判断により対象地域は大小さまざまになります。地域公共交通・交通事業者の利害関係は事業者間で調整するか、事業者間で調整しきれない場合は自治体が仲介が必要となる場合があります。

最後の市民主導型は、地域の有志、NPO法人、街づくり会社、観光DMO等が主体となって、比較的小さい地域における特定の利用者を対象に、移動サービスを導入するパターンです。できるところからスモールスタートするやり方で、関係する公共交通・交通事業者もできるところから始めるものになります。

地域において移動サービスを構築するには、多様な利用者の需要に対して、既存の交通サービスと新規の交通サービスを組み合わせて解決することを考える必要があります。トップダウン型アプローチでは、地域全域の多様な利用者を対象とするため比較的時間がかかります。一方で、事業者主体型やボトムアップ型アプローチでは、特定の地域や特定の利用者を想定して移動サービスを構築するため比較的短時間に構築できます。

千曲市の温泉MaaSは、この市民主導型アプローチで利用者をワーケーション参加者に限定し、また利用期間をワーケーション体験会(2021年度からワーケーションウェルカムデイズ)の期間のみに限定することで、小規模な実証実験から始められるようにしました。この実証実験は、利用者の使い勝手を検証することとともに、地元の交通事業者の方にデジタルな手法によるサービス提供を試してもらうことを目的としています。千曲市の温泉MaaSでは、最初にタクシー予約機能を提供しましたが、ご協力いただいた地元のタクシー事業者は電話でのみ配車予約を受け付けており、スマートフォンアプリからの予約には対応していませんでした。そこで、温泉MaaSの実証実験で、スマートフォンアプリからの配車予約をパソコンで受け付ける手法が受け入れ可能なのかという観点での検証も必要でした。このあたりの検証の様子はまた別の記事に書きたいと思います。

地域の移動サービスを検討するには、地域の事情にあったアプローチ方法の検討が必要になると考えます。

温泉MaaS Developers

日本の観光地の代名詞とも言える温泉街を、ワーケーションとモビリティサービスを組み合わせて活性化する街づくりプランナー、コーディネーター、デベロッパーのためのサイトです。

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